麻雀で三店方式がない理由について解説します。麻雀ではなぜ三店方式が認められていないのか、三店方式を採用しているパチンコと比較しながら詳しく解説します。
麻雀で三店方式がない理由
麻雀において三店方式が認められていないのは、大きく2つの理由があります。
風俗営業適正化法施行規則により雀荘での賞品提供は認められていない
麻雀で三店方式が使えないのは「風俗営業適正化法施行規則」という法律により、賞品の提供が認められていないためです。
「風俗営業適正化法施行規則」とは
風俗営業法の規定をより詳細に定めた規則のこと
基本的にはどんな法律も、まずは「〇〇法」の形で概要を定めた上で、「〇〇施行令」や「〇〇施行規則」を定めて詳細事項を規定しています。
ちなみに風俗営業法とは、飲食や遊びを提供する店舗や性風俗を提供する店舗の営業について定めている法律です。
雀荘の場合は「遊びの場を提供する」という点から、風俗営業法の規定を受けることになり、実際に法律にも明記されています。
まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
風営法では、お店の特徴によって1~5号店まで分類されており、雀荘は「風営法4号店」と指定されています。
分類 | 店舗例 | 特徴 |
風営法1号店 | キャバクラ、待合、料理店、カフェ | ホストやホステスが直接接待する飲食店 |
風営法2号店 | 喫茶店、バー | 店内の明るさが10ルクス以下で、接待行為はない |
風営法3号店 | ネットカフェ、個室居酒屋など | 客席の広さが5㎡以下であり、他の客席を見通せない |
風営法4号店 | 雀荘、パチンコ店 | 射幸心を煽る可能性があり、施行規則の定めにより賞品を提供できる |
風営法5号店 | ゲームセンター | 青少年も出入りができる |
上記の分類とは別に、ソープランドやラブホテルなど性風俗特殊営業についての分類も8つありますが、本記事とは関連が薄いため割愛いたします。
そして風営法4号店の中でも、規定が細かく定められており、賞品を提供しても良い店舗が決まっています。その中で、雀荘は、賞品提供が許可されていません。
第二条第一項第四号のまあじやん屋又は同項第五号の営業を営む者は、前条第一項の規定によるほか、その営業に関し、遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない。
賞品提供することが法律で認められていないため、三店方式の仕組みが成立しないのです。
雀荘はあくまでも麻雀をプレイすることだけを目的としている
そもそも雀荘とは麻雀をプレイする環境を提供するために営業されています。
既に解説した通り、賞品提供を目的とした営業は風俗営業法の規定により認められていないためです。
利用者が賞品や賞金を賭けてプレイすることは、想定されていません。ボウリング場やカラオケ店などの娯楽施設と同じです。
もし、利用者がお金を賭けて麻雀をすると、刑法の「賭博罪」で罰せられます。国内で賭博を行うことは明確に禁じられているためです。
パチンコが許されて麻雀が許されないのはなぜ?
パチンコは三店方式による換金が黙認されています。一方で麻雀は許されていません。その理由は大きく2つあります。
パチンコは法律で賞品提供が認められている
パチンコは、法律で賞品提供が認められています。ここが、麻雀との大きな違いです。
次に掲げる営業の種類に応じ、それぞれ次に定める物品を賞品として提供すること。
イ ぱちんこ屋及び令第八条に規定する営業で遊技球等の数量により遊技の結果を表示する遊技機を設置して客に遊技をさせるもの 当該遊技の結果として表示された遊技球等の数量に対応する金額と等価の物品
パチンコは賞品提供が可能なので、特殊景品など換金性の高いものを利用して、三店方式という形をとれるのです。
パチンコと麻雀は戦う相手が違う
パチンコと麻雀は、誰と戦うのかという点にも大きな違いがあります。
種類 | 戦う相手 |
---|---|
麻雀 | 利用者 |
パチンコ | 店舗(ハウス) |
パチンコではハウスと戦うからこそ、勝利した(出玉を増やした)時には負けた側のハウスから賞品をもらえます。
一方、麻雀は、卓に同席した他の利用者と戦います。そのため、麻雀で勝利したら、他の利用者から賞品をもらう形になります。
しかし、そもそも日本の法律では、賭博で金銭を賭けることは禁止されています。
以上のように、お店からも、利用者からも賞品を受け取れないことが、麻雀で三店方式が採用されていない理由と言えます。